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はじめに
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- 福岡県の西側、糸島市で、「またいちの塩」を製造・販売している、新三郎商店の代表・平川秀一です。私たちは糸島半島のいちばん端にある製塩所「工房とったん」で、昔ながらの製法できれいな海水から塩づくりを行っています。さらに、その塩を使い、糸島の食材を生かした味を提供する「ゴハンヤ イタル」「sumi cafe」を運営し、名物「しおをかけてたべるプリン」は、全国の皆さまからご好評いただいています。
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- またいちの塩を通して、20年以上美味しい塩と食を提供することを続けてきましたが、今、大きな課題に直面しております。
このクラウドファンディングは、その課題を共有することで、またいちの塩が商品リニューアルを行う本当の理由を知っていただくことが目的です。そして、この取り組みに共感してくれる方が1人でも多く増やすことができないかという想いでチャレンジします。 -
リニューアルのキーワードは「持続可能な塩づくり」
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- 今までプラスチック性のパウチ袋を使用していた、またいちの塩。
それが今回、アイスカップ状の紙カップに生まれ変わります。 -
- 目指すのは「持続可能な塩づくり」。
海水を原料に塩づくりをする私たちが、海の汚染につながるプラスチックの容器に入れて、塩を売っている。この現状をまず変えなければいけないという思いで、私たちは試行錯誤を繰り返してきました。
紙の容器を使うことで、プラスチック含有量※を90%減らすことができます。もちろん、最終的な目標は0%にすることです。
(※PP:ポリプロピレン含有率)
パッケージには「またいちの塩」が手作業で行われていることをイラストで表現し、簡単にフタの開け閉めができ、使いやすさにもこだわっています。パッケージが変わっても、塩の品質が変わることはありません。 -
私たちが“自然に還る素材”にこだわる理由
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マイクロプラスチック問題
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- 今回のリニューアルを通じて、皆さんに知っていただきたい課題は、またいちの塩を育んでいる海を汚染する「マイクロプラスチック」の問題です。
私たちが普段の暮らしで使ったプラスチックが目に見えないほど細かく砕けて、水や食べ物に混入しようとしているのです。
都会で暮らす方々には、まだ気づく機会が少ないかもしれませんが、海とともに働く私たちは、今まさに起きている急激な環境変化を日々目の当たりにしています。昔は工房の目の前の海で大量に採れていたひじきやワカメも、現在ではほとんど見られなくなってしまいました。 -
私たちの取り組み
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- 塩づくりで海水を取り扱う以上、私たちは環境について真剣に考えなければなりません。
その想いから、これまでにも自然に還る素材を使用した、脱プラスチックのチャレンジに取り組んできました。
例えば、プリンの商品で提供しているスプーン。今まではプラスチック製でしたが、2021年から木のスプーンに切り替えました。また、ドリンクカップやストローを生分解性に変更。自社で運営する飲食店では、使い捨てのストローを使わず、繰り返し利用できるステンレス製に変えています。 -
- 海にゴミを捨てないことも重要です。糸島半島の海や「工房とったん」の周辺にゴミが散らかっているのを見ると、居たたまれない気持ちになります。海にゴミが増えると塩を作ることはできません。良質の海を守るため、私たちはゴミ拾いを毎朝の習慣にし、月に1度は定休日を設け、社員みんなでビーチクリーン活動を行っています。
またいちの塩商品パッケージのリニューアルも、このチャレンジの一つです。 -
海水から塩になるまで約1か月。自然と共にある、またいちの塩づくり
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- きれいな海を維持することで、美味しい塩が作れる。
そのことは、自然のままの海水を原料とする私たちの塩づくりの工程を知っていただくことで、より深くご理解いただけると思います。 -
私たちの塩づくり
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- 「またいちの塩」の製塩所「工房とったん」は、糸島半島の西の端の端、まさに“とったん”にあります。青い空と豊かな緑、そして、塩づくりに適したきれいな良質の水をたたえる海が自慢です。
製塩所の前の海は、玄界灘の内海と外海がちょうどぶつかり合い、山と海の豊富なミネラルが混ざり合う場所で、1日中照らす太陽、生活排水が入らない環境と、塩づくりに必要な条件がすべてそろっています。
我々と同じように、海水を使った製塩所の中で、福岡市のような大都市から車で1時間くらいの場所にあるのは全国でも私たちの製塩所だけです。おかげさまで、多くのお客様から愛され、気軽に遊びに来ていただいています。 -
- この製塩所で、週に1度あるかないかという海のきれいな日を狙って、原料となる海水をモーターでくみ上げます。汲み上げた海水は、木組につるした竹のてっぺんから噴射し、10日間かけて、塩分が濃縮した「かん水」を取り出します。効率重視のビニールではなく、昔ながらの木と竹を使った塩づくりは、「立体式塩田」と呼ばれ、全国でも数えるほどしかありません。さらに、天候が良く、風も通り、海水がきれいという条件の限られた日におこなうため、タイミングがとても大切です。
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- 次の工程は「釜炊き」です。「かん水」を塩田から塩釜に移し、じっくり煮詰めて海水を濃くしていきます。燃料は、廃材と廃油のハイブリット方式です。廃材はすべて手作業で、燃焼しやすいサイズにまき割りをして使っています。火入れや火の加減調節も、すべて人。夏は釜の周辺の温度が40℃を超えるため、暑さとの戦いです。
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- 海水があめ色になり、さらに3~5日を費やすと、ようやく塩の結晶が現れます。この一番結晶を、2、3か月の間に自然乾燥をさせたのが「花塩」です。できる量に限りのある贅沢な味わいは、食べてみた人にしか分かりません。
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- こうして、海水が塩になるまでは約1か月を要しますが、100リットルの海水から取れる塩はたった100グラムしかありません。それを私たちは、変化する自然と職人の五感で見極めながら日々作っているのです。
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コストをかけてでも、前に進む
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- これまで脱プラスチックに向けて様々なチャレンジを続けてきた私たちですが、今回のパッケージリニューアルは、これまで以上に大きな変化を伴うものとなりました。
最大の問題点は「コスト」です。
透明なプラスチック容器の方が軽く、コストも安い。配送コストという面でも、段ボール1個に入れることができる商品数が半分になるため、送料は倍になってしまいます。結果として、商品の値段を上げせざるを得ません。
しかし、自然が直面している危機のことを考えると、私たちはコストをかけてでも脱プラスチックを推し進めていかなければならないと思っています。
「単に値段が上がった」「パッケージが変わった」と感じる方もいるかもしれませんが、こうしてリニューアルの背景をお伝えすることで、持続可能な塩づくりを目指す価値を皆さんにご理解いただけるものと信じています。 -
この取り組みに共感してくださった方へ
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- 今回のクラウドファンディングでは、「またいちの塩」の様々な塩や「しおをかけて食べるプリン」の特別セットだけでなく、さらに、今回限定の「塩づくり体験」や「1日弟子入り体験」など「またいちの塩」を存分に味わえる返礼品をご用意しております。
応援してくださった方へ、10月下旬より随時発送いたします。一人でも多くの方に、「脱プラスチックに向けた取り組み」「持続可能な塩づくり」を知っていただくため、ハッシュタグ【#またいちのとりくみ】をつけて、InstagramやFacebook等で発信のご協力をお願いいたします。 -
資金の使い道
- ・脱プラスチックに向けた商品開発
・パッケージリニューアルや持続可能な塩づくりの広告宣伝費用
・地元でのビーチクリーンや清掃活動のための必要経費 -
私たちが作る塩をさまざまな形で体験してもらえば、 塩の本当の価値がわかるはずです
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- 塩は、あらゆる食のベースになります。そのなかで、本物の塩とは、「それ自体が主張することなく、食材の良さを引き出して料理を奥深いものにする塩のことだ」と、私たちは考えています。例えば、米と塩と水だけで作ることができる塩むすびは、そのおいしさをストレートに感じることができます。子どもでも簡単に作れますし、作って食べるという一連の体験は食育にもつながるはずです。
私たちは、「またいちの塩」を通して、その重要さを皆さまにも知ってほしいと願っています。また、日々生まれる新しい食の体験や商品につながる発見、塩の新しい可能性や機会を探り続けていくことも、私たちの大切な仕事だと考えています。そのため、弊社では、塩づくりだけにはとどまらず、「またいちの塩」を使った商品の製造・販売や飲食店の運営など、塩に関連したさまざまな事業を行っています。 -
- 「工房とったん」では、製塩所と併設する場所には販売所を置き、「またいちの塩」の各種商品の販売などを行っています。海沿いのロケーションを生かして設けた展望所は、自然の中でお客様にこだわりの塩を使った商品を味わってもらうことも可能です。
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- 「工房とったん」から車で30分ほどの場所に、糸島の旬の食材を私たちが作る塩でご堪能いただける「ゴハンヤ イタル」と「sumi cafe」、作り手の想いが詰まった商品をそろえるセレクトショップ「新三郎商店」があります。また去年から果樹園を稼働させ、作物の栽培も始めました。将来的にはここを、食を楽しみながら学べる場にしたいと計画中です。
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- 塩を活用した商品も次々に開発をしています。有名なのは「しおをかけてたべるプリン」。「またいちの塩」を全国区に押し上げた商品で、とろっとろのカスタードプリン、貴重な一番結晶から生まれる「花塩」のカリッとした食感とうまみ、軽めのカラメルソースの絶妙なハーモニーをお楽しみいただけます。
2021年の秋には、JR筑前前原駅からすぐの場所に塩そば屋「おしのちいたま」を開業させます。今後も、さまざまな角度からアプローチを行い、私たちが作る塩で皆さまに喜んでいただこうと思っています。 -
最後に
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またいちの塩の“塩人”仲間たち
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- 私たち新三郎商店の仲間は、とにかく面白がるのが大好き。今、「こんなことやってみたい」「おいしいものが食べたい」「お客様に喜んでもらいたい」と、会社の取り組みに共感してたくさんの仲間が集まりました。各地から集まった約70人のメンバーが、それぞれの経験を生かして、塩づくりはもちろん、飲食店、物販、通販等で、今できることを楽しく、熱意と想いで取り組んでいます。
今回をきっかけに、またいちの塩を体験し、少しでも想いが伝われば未来への第一歩です。
そして、もしかしたら購入してくださった皆さまが自身の行動を見直し、生活に変化が起きればさらに素晴らしいことです。ぜひ、またいちの塩を体験してみてください。
皆さまの温かい応援を、よろしくお願いいたします。 -
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